日本酒ができるまで
日本酒は米や水からできることは知っていても作業の流れについて知らない人も多いのではないでしょうか。
工程は複雑で、バリエーションもさまざまですが、今回は一般的な工程について紹介します。
日本酒ができるまでを知ってみるとより日本酒が美味しくなるでしょう。
まずは、精米。日本酒で使われる米を「酒米」といいます。食べるご飯と種類が異なり大粒です。
どのくらい精米するのかは作られる日本酒によってちがいます。これを精米度数といい、大吟醸に使われる米は芯の部分が使われています。
精米した米を洗い、水に浸し吸水させ蒸すという流れから蒸米になるのです。
蒸米は麹用、酒母用、掛け米用といくつかの工程で使われ、適した温度に冷やされます。
麹用の蒸米に麹菌をふりかけて麹を作り、酒母用の蒸米と水、乳酸を入れ混ぜると酒母という日本酒のもとができます。
そこから仕込みという工程に入り、酒母をさらに発酵させもろみに。
もろみから熟成が進むと新酒ができて、おり引きやろ過、火入れ、割水と工程を進めていくことで日本酒が完成します。
酒造りはたくさんの作業工程があり、時間がかかります。日本酒を飲む際は作業工程を知っているとよりおいしく飲めるのではないでしょうか。
杜氏と蔵人とは
日本酒を作る職人を蔵人(くらびど)といいます。その蔵人の中で長と呼ばれるのが杜氏(もりし)です。
杜氏は藏内の管理や日本酒の製造工程で目を光らせています。杜氏の下には10人ほど蔵人が携わっています。
それぞれ役割が決まっていて、杜氏の補佐を務める頭(かしら)は、作業の指揮をとり人員の配置を担当。
麹造りの責任者は代師(だいし)、酒母製造の責任者はもと廻り、もと屋。この3人は三役と呼ばれます。
三役以下は役人(やくびと)としてそれぞれの仕事を担当。
酒造に入りたての蔵人は炊事などからはじめ、仕事を覚えていきます。
後継者不足について
昭和の高度経済成長期に、全国各地で企業の事業所や工場が建ち、杜氏・蔵人の子どもたちも地元企業や都市部で働くようになりました。
その結果、後継者が年々減っていき、平均年齢も高くなってきました。
一方で、大学や高校で醸造を学んだ人たちが酒造りについて経験を積み、杜氏・蔵人になり活躍する流れもあります。
酒造メーカーの月桂冠ではこの状況から、1961年時点で社員による四季醸造の体制を築きました。
そのおかげで杜氏に匹敵する能力を持った社員が育ち、各蔵を担当するように。鑑評会では金賞を受賞し、高い評価を得ています。