注目の企業
注目企業というと、最近できたばかりの勢いのある若い企業に目が向きますが、
実は昔ながらの伝統を持つ中小企業の中にも先進的な取り組みをしているところがあります。
日本は大企業よりも中小企業の数が圧倒的に多く、経済の基板となる活動をしています。
例え創業歴の長い企業であっても、
常に時代の変化に対応をしていく工夫がなければあっという間に波に飲まれて消えてしまうような時代ですから、
伝統や歴史にばかり頼るのではなく新しい工夫を重ねていく努力が大切です。
そんな企業をとりまく環境の中で、非常に珍しい方法で業績を伸ばしてきた企業があります。
ホッピービバレッジ株式会社
日本独自の中小飲料メーカーである「ホッピービバレッジ株式会社」です。
ホッピービバレッジ株式会社とは、居酒屋などでおなじみ「ホッピー」を製造している企業です。
ホッピーは正確にはお酒ではなく、焼酎と割って飲むための飲料水です。
飲んだことがある人ならわかるでしょうが、
焼酎とホッピーを割って飲むとまるでビールのような麦芽様の味になることから、
年配世代の人にとってはおなじみの飲料として定着してきました。
ホッピービバレッジ株式会社の商業はなんと明治43年(創業時の社名は「秀水舍」)からと非常に古く、
当時はホッピーの他にもラムネやサイダーといった飲料水を製造していました。
それが何度かの会社の変遷により主力商品であるホッピーを開発するにいたりました。
現在もビールやサワー類など他の製品も販売していますが、
やはり会社の売上の多くはホッピーによるものとなっています。
転機
ホッピービバレッジの転機となったのは、
現在の3代目社長である石渡美奈さんの入社でした。
もともと秀水舍ことホッピービバレッジを創業したのは石渡秀という祖父でしたが、
当初入社を反対されていたにも関わらず石渡社長はホッピービバレッジの社員となりました。
入社当初はホッピーといえば「おやじの飲み物」として売上も減少傾向にあったのですが、
それを若者も飲む飲料にしようと方向を転換させ、
ネットを使った製品アピールや広告宣伝を行うなど、
イメージ戦略を重ねてきました。
何より大きな効果につながったのがビールに含まれるプリン体がゼロであるという点で、
これが健康志向の強い世代の人に大きく受けて、
みるみるうちに売上は3倍近い数字にまで伸びていきました。
現在石渡社長は中小飲料メーカーでつくる
「社団法人全国清涼工業会」の中小組織の会長として同じ中小規模のメーカーをサポートする仕事をしています。